OucaのSHOPがある、祐天寺。
中目黒と学芸大学の間にある
急行や特急は止まらない、各停のみの小さな駅です。
名前は聞いたことがあっても、
何か用事がなければなかなか降り立つことのない
東急東横線の駅の中では、比較的地味な印象かもしれません。
わたしは
この「祐天寺」という名前の響きと漢字、
近隣の駅の賑やかさと比べると
こじんまりとして落ち着いた町の雰囲気がとても親しみがあって好きです。
それは、祐天寺にあるお寺「祐天寺」の存在も大きいのかなと思います。
「祐天寺」の地名は、実在するお寺「祐天寺」の名称にちなんだもので
地名として使われたのは比較的新しい昭和40年代からだそう。
一方、元となるお寺「祐天寺」は300年ほどの由緒ある浄土真宗の寺院で、
「祐天上人」という高僧の遺志を受け、弟子の「祐海上人」が享保3年(1718年)に建立したそうです。
とても長い歴史があるのですね。
(詳しくはこちらを。→ 『 明顕山 祐天寺 』 )
祐天寺は東急東横線の祐天寺駅から徒歩10分ほど、
駒沢通り沿いにあります。
境内には桜を始めとした緑が多く、一年中その時々の季節を感じられる景色が広がります。
隅々まで丁寧に手入れされた境内はとてもすがすがしく清澄な空気に満ちていて
また、周辺には高い建物がないため、いつも広々とした空が眺められます。
通りに面した表門をくぐり仁王門を進むと、参道の正面には本殿が。
境内には、いくつかのお堂やお稲荷様やお地蔵様、大きな鐘楼もあり
いつも静かで穏やかな、凛とした空気が漂っています。
表門と本殿は、国登録有形文化財となっているそうです。
その他にも地蔵堂や本殿の横の書院など
長い歴史を湛えた建物が佇んでいます。
本殿の賽銭箱には、江戸時代の纏(まとい)がたくさん。
実は祐天上人は江戸時代の町火消し制度を考案されたそうで、東京の消防とのゆかりが深いそう。
今はコロナ禍で開催されていませんが、以前に祐天寺で行われた防火防災のイベントでは、
火消しの纏が勢ぞろいした梯子乗りも行われていました。
大きな梵鐘の近くには藤棚があり、その下は休憩スペースになっています。
夏でも爽やかに風が通り抜けるそのベンチでは
誰もが思い思いに時間を過ごすことが出来ます。
春には桜と新緑、
夏には濃く深い緑と蝉の声。
秋には紅葉とどんぐり、
冬には初詣の幻想的な灯り。
ずっとずっと昔から変わらずに
高く大きく抜けるような空の下で
朝も昼も、夕方も夜も
美しく力強い四季の移り変わりの中に静かに佇み
誰でもいつでも分け隔てなく迎え入れてくれているような揺るぎない存在感に
いつも、圧倒されるような気持ちになります。
こちらは、本殿の前にある「掲示殿堂」。
通りかかるたびに目にしていましたが、先日、心惹かれるお言葉が。
祐天寺さんのホームページにはその解説のページがあるのですが、
これは、あの一休さんのお言葉だそうです。
なんとも、心がほぐれるようなお言葉!
ただ毎日を過ごしていくばかりで、
なかなか新しいことに興味を持ったり、積極的に知ろうとする機会が少なくなったな~と思っていた今日この頃。
今回、祐天寺のことを書こうと思ったものの、
自分の好きな場所と思っていながらも、その由来は殆ど知らず知識も無かったので
久しぶりに、歴史を紐解くような楽しさを味わうことが出来ました。
そして約300年もの間
この地で、ずっと人々の心の拠り所として
こうして変わらずにあり続けている場所があるということに
改めて重みを感じたのでした。
江戸時代、触れたのは何年ぶりでしょうか、、
お寺の祐天寺にまつわる様々なことや、目黒区のいろいろな地名も、
学生のころと違い今の自分が改めて知ると、また違った視点で感じることが出来そうです。
祐天上人は呪術師としての側面もあったそうで、その逸話も興味深いし、
纏のデザインもそれぞれ個性があって素敵だし、
一休さんも、とっても懐かしい!
今回「祐天寺」から芽生えたいろいろな興味を、
この秋に深めていくのも面白そうだな~と思っています。
思わず「へぇ~!」と言ってしまうようなことや、
「そうなんだ!」と心動かされて思い知ることは、
新しく探すことばかりではなく、身近なところにもたくさん溢れているのですね!
そして「祐天寺」つながりでもう一つ。
Eテレの朝の番組、0655。
毎朝ご覧になっている方もいらっしゃるかと思いますが、
その中に「さらば○○(地名)」という「ご当地再発見ソング」があります。
ムード歌謡的なその歌詞の中に
「本~当にあるのね、本当にあるのね、、」に続き
高円寺に高円寺(お寺)
豊橋に豊橋(という橋)
などなど
様々なパターンの地名や場所が登場しているのですが
いつか、祐天寺に祐天寺も登場しないかな~というのも、密かな楽しみの一つです。
祐天寺でのお楽しみの一つ。
しばらく休止中の、夏のみたままつり。
また、こちらも今は休止中とのことですが、御朱印もいただけるそうです。
どちらも、再開する日を心待ちにしたいと思います。
引き続き、なかなか気軽に外出が叶わない日々ですが、
ご興味を持っていただけたら、いつか祐天寺まで足を運んでみてくださいね。
2021.09.01 suzuki